
導入事例ページは、BtoBサイトにおいて新規リード獲得や信頼性向上に直結する重要なコンテンツです。
しかし「どのようにデザインすれば成果につながるのか分からない」「他社の成功事例を参考にしたい」という声も多く聞かれます。
本記事では、参考になる導入事例ページデザイン10選をスクリーンショット付きで紹介するとともに、成果に直結するデザイン改善のコツ5選を解説。さらに、AIを活用した効率的な事例ページ設計の方法まで取り上げ、実務に役立つヒントをまとめましたので、ぜひ参考にしていただけると幸いです。
導入事例ページでデザインが重要な理由

導入事例ページのデザインは、ただ見やすくするためだけではなく、読む人の「安心感」や「納得感」に大きく関わります。BtoBの世界では感覚的な好みよりも、きちんとした理由や根拠が重視されるため、デザインが信頼や成果をどう伝えるかが重要になります。
まず信頼性ですが、企業ロゴや担当者の顔写真、社名を整ったレイアウトで見せると、「この情報は本物だ」と直感的に感じてもらえるでしょう。
次に比較のしやすさについて、業界や規模、課題や効果を同じ形式で並べると、読む人は自社に近いケースを簡単に探せ、「うちと同じような会社が成果を出している」という安心につながります。
最後に成果の伝え方について、数字やグラフを取り入れることで、文章だけでは伝わりにくい効果もパッと理解できます。目で見て納得できる情報は、それだけ意思決定を後押ししやすいので効果的です。
デザインは単なる飾りではなく「信頼を築き、比較を助け、成果を伝えるための力」と言えます。
参考になる導入事例ページデザイン10選
IT・ソフトウェア系の導入事例ページデザイン5選
1.「Backlog」の導入事例ページ

プロジェクト管理ツール「Backlog」の事例ページでは、アピールしたい事例をファーストビュー内に配置し、ファーストビューから1スクロールで一覧が表示される構成となっています。また、注目の事例の下にはクローズ状態で絞り込み検索を設置しており、一覧表示を邪魔しないシンプルで使いやすいUIを実現しています。
2.「サイボウズ Office」の導入事例ページ

中小企業向けに設計された高機能なクラウド型グループウェア「サイボウズ Office」の事例ページでは、ファーストビュー内に絞り込み検索UIが配置されており、1スクロールで一覧の最初の3事例が表示される構成になっています。事例は主に業種、利用規模、課題・目的で分類されており、複数選択による絞り込みはできませんが、例えば業種で「製造業」を選択すると、事例一覧の箇所まで自動的にスクロールし、すぐに対象の事例を確認できるため、使い勝手が良いと感じました。
3.「sansan」の導入事例ページ

法人向けクラウド名刺管理サービス「sansan」の事例ページでは、アピールしたい事例をファーストビュー内に配置し、フィルタリング項目は業種と従業員数のみというシンプルな設計になっています。また、一覧表示では導入企業のロゴを掲載しているため、ぱっと見で導入企業の権威性を伝えられ、閲覧者に対する信用度の向上につながっています。
4.「Fujitsu」の導入事例ページ

Fujitsuの事例ページでは、アピールしたい事例をファーストビュー内に配置し、絞り込み検索にはカテゴリーごとのプルダウン形式を採用しています。事例の数がさほど多くない場合に特に有効なUIであり、必要な情報にスムーズにアクセスできる設計となっています。
5.「Chatwork」の導入事例ページ

ビジネス向けクラウド型チャットツール「チャットワーク(Chatwork)」の事例ページでは、アピールしたい事例をファーストビュー内に3件配置し、さらにスライダーで他の事例も閲覧できる構成になっています。1スクロールすると、業種・利用規模・目的・効果で絞り込めるUIが表示されますが、現状では複数選択による絞り込みはできません。改善点としては、業種・利用規模・目的・効果を複数選択可能にすることでUXの向上が期待できます。また、一覧は1ページあたり12件表示され、さらに見る場合は次ページへの遷移が必要となるため、スクロールに応じて自動で次の12件を読み込む仕様にすれば、よりシームレスで快適なユーザー体験を実現できます。
製造業の事例ページデザイン1選
ダイキン工業の導入事例ページ



ダイキン工業の導入事例ページのデザインでは、ファーストビューに新しく登録された事例が表示され、さらに1スクロール目でも同様に新着事例の一覧が表示される構成になっています。続いて2スクロール目に進むと、マーケット・製品・地域の3つのカテゴリで絞り込み検索ができるUIが表示され、ユーザーが自分に合った事例を探しやすい仕様となっています。
ちなみに・・ファーストビューとそのすぐ下の情報が同じなのが気になったので、私であれば、次のように改善提案します。
- ファーストビュー:新着ではなく、運営者が特に注目させたい「ピックアップ事例」を表示し、ユーザーの印象に残るデザインにする。
- 1スクロール目:絞り込み検索のUIを畳んだ状態で表示し、事例一覧とあわせて見せることで「探しやすさ」を直感的に伝える。
- 2スクロール目以降:事例一覧を画面遷移なしで次々と読み込めるUIにする。ただし一気に全データを読み込まず、段階的に表示する仕様にすることで、ページが重くならず快適なUXを維持できる。
このようにデザインとUI/UXを工夫することで、事例ページは「情報を探す場」から「成果につながる体験の場」へと進化させることが可能になります。
建設業の事例ページデザイン1選
住友林業の事例ページ



注文住宅のメーカーである住友林業の建設事例ページのデザイン、UI/UXとなります。
ファーストビューではまず大きなイメージをメインに配置し、視覚的に「理想の住まい」を想像させるような設計になっており、ユーザーがページを開いた瞬間にワクワク感を与えることで、直感的に続きを見たいと思わせるUI/UXが実現されています。
さらに、ファーストビューから1スクロールすると、導入事例の一覧と絞り込み検索ボタンが表示。検索性を意識したデザインによって、閲覧者は自分に近い条件の事例をすぐに探すことが可能に。「一覧性」と「検索性」をバランスよく組み合わせることで、ユーザーの回遊性を高め、成果につながるUI/UXが実現されています。
加えて、絞り込み検索ボタンをクリックすると、ポップアップ形式で検索画面が表示。ページ遷移を伴わずに条件を絞り込める点は、操作のストレスを軽減する優れたデザインといえるでしょう。直感的なUI/UXにより、家づくりを検討しているユーザーが自分に合った事例を効率的に見つけられる仕組みとなっています。
成果に直結する導入事例ページデザイン改善のコツ5選
1. ファーストビューは事例一覧を視認できる設計に

よくある失敗例
- ファーストビュー内のメインイメージが大きすぎて事例一覧が下に追いやられている
- 企業紹介やサービス説明が長く、肝心の事例が見えない
- 「事例を見る」ボタンを押さないと何があるか分からない
ファーストビューで事例のサムネイルを3〜4個表示し、どのような企業の事例があるかを即座に把握できるようにしましょう。企業ロゴと業界名、効果を示す数値を組み合わせたカード型デザインが効果的です。また、全体で何件の事例があるかも明示することで、豊富な実績をアピールすることができます。
2. 絞り込み検索をユーザー目線で設計する

よくある失敗例
- 自社の商品ラインナップに合わせた分類で、ユーザーが理解しにくい
- 絞り込み条件が多すぎて、どれを選べばいいか分からない
- 検索結果の件数が表示されず、絞り込みの効果が分からない
ユーザーが最も関心を持つ「業界」「企業規模(従業員数・売上高)」「抱えている課題」の3軸で絞り込めるようにしましょう。それぞれのカテゴリには事例件数を併記し、選択したときに何件ヒットするかを事前に確認できるデザインが親切です。また、「同業他社の事例」「同規模企業の事例」といったレコメンド機能も有効です。
3. 成果数値をタイトルやサムネイルで強調する

よくある失敗例
- 数値が本文に埋もれていて、一覧では分からない
- 「効率化を実現」「売上向上」など抽象的な表現のみ
- Before/Afterの比較が分かりにくい
「売上150%向上」「業務時間50%削減」など、具体的な数値をサムネイルやタイトルで大きく表示しましょう。色分けやアイコンを使って、「売上系」「効率系」「コスト系」などの成果タイプを視覚的に分類することも効果的です。グラフや矢印を使った視覚的表現により、改善幅を直感的に伝えられます。
4. 関連事例や関連記事への導線を設ける

よくある失敗例
- 1つの事例を読み終わると離脱してしまう
- 関連性の低い事例が並んでいる
- サイト内の他のコンテンツとの連携がない
事例ページの最下部に「同じ課題を解決した事例」「同業界の事例」「関連するサービス紹介記事」への導線を設けましょう。また、事例本文中に関連するサービス機能へのリンクを適切に配置することで、より詳細な情報への誘導も可能です。パンくずリストやタグ機能により、関連コンテンツを発見しやすくする工夫も重要です。
5. モバイル最適化&読み込み速度を改善する

よくある失敗例
- スマートフォンで表や画像が見にくい
- 読み込みが遅く、途中で離脱される
- タップしにくいリンクやボタン配置
モバイルファーストでデザインし、縦画面でも数値やグラフが読みやすいレイアウトにしましょう。画像は適切な圧縮を行い、ページ読み込み速度を3秒以内に抑えることが理想です。また、「詳細を見る」ボタンは指で押しやすいサイズに設計し、スクロール中にも表示される固定CTAボタンを設置することで、コンバージョン機会を逃しません。
導入事例ページ デザイン・UI/UXチェックリスト
導入事例ページは「どんな企業が成果を上げているのか」を視覚的に伝える重要なコンテンツです。
しかし、単に事例を並べるだけではユーザーに十分な印象を与えられず、せっかくの閲覧機会を逃してしまうこともあります。そこで鍵となるのがデザイン設計です。
特にBtoBサイトでは、見やすさ・使いやすさ・スピード感が成果に直結します。
下記では、モバイルファースト・読み込み速度・CTA設計などを含む、導入事例ページを効果的にデザインするためのチェックリストをまとめました。ぜひ自社サイトの改善にお役立てください。
1. ファーストビュー(FV)設計
- 事例一覧がファーストビューで視認できるか
└ アイキャッチ画像が大きすぎて、1スクロールしないと事例が見えない状態になっていないか - 検索フォームが主要情報を圧迫していないか
└ 検索・絞り込みフォームがFVを占有し、事例がまったく見えなくなっていないか - CTAが適切に配置されているか
└ 「お問い合わせ」「資料請求」などのCTAボタンが、FVで視認できる位置にあるか
2. ナビゲーション・UI設計
- 次の事例をスムーズに見られるか
└ 毎回ページ遷移が必要になっていないか。Ajax表示やモーダル表示で改善できる - 検索フォームのUIが最適化されているか
└ 業種・課題・規模などが適切にグループ化され、選びやすい設計になっているか - 検索結果にすぐ到達できるか
└ 絞り込み後、一覧エリアへ自動スクロールされるなど、ユーザーが迷わず結果にたどり着けるか - パンくずリストが設置されているか
└ 詳細ページで現在地がわかり、サイト回遊性を高められているか
3. パフォーマンス・読み込み速度
- データ読み込み方式が最適化されているか
└ 導入事例が多い場合、全件一括読み込みでパフォーマンス低下していないか。Lazy Loadやページネーションで分割されているか - 無限スクロールが使いやすいか
└ 無限スクロールを採用している場合、目的の事例に到達しやすいか。検索機能との併用が望ましい - 画像が最適化されているか
└ サムネイルが圧縮され、WebPなど軽量フォーマットを利用しているか。大量の画像で表示が重くなっていないか
4. デザイン・ビジュアル面
- サムネイルが適切に使われているか
└ 事例一覧にサムネイルやロゴがあり、視覚的に見分けやすいか - 成果が強調されているか
└ 「工数50%削減」など具体的な成果がタイトルやサムネイルで視認できるか - ブランドトーンが統一されているか
└ アイキャッチや事例ページのデザインが、コーポレートサイトの世界観と一致しているか - モバイル表示に最適化されているか
└ スマホ表示時に事例カードや検索フォームが崩れていないか
5. 機能・検索性
- 絞り込み検索の粒度は適切か
└ 業種・課題・製品・会社規模など、ユーザー目線で条件設定できるか - タグ設計が一貫しているか
└ タグ付けが統一され、関連事例を横断的に探せるか - 並び替え機能が用意されているか
└ 新着順・人気順・業種別など複数のソート軸を提供しているか - 関連事例が自動表示されているか
└ 詳細ページ下部に関連事例が表示され、回遊性が高まっているか
6. コンテンツ設計
- 課題・解決策・成果が構造化されているか
└ 「Before → After」が明確で、導入効果を理解しやすいか - 担当者コメントが掲載されているか
└ 導入担当者の声を加えることで、信頼性が高まっているか - CTAが最適に配置されているか
└ 「お問い合わせ」「資料請求」「デモ依頼」など、事例を読んだユーザーが次の行動を取りやすいか
7. SEO・マーケティング視点
- 構造化データが設定されているか
└ Article / Breadcrumb / FAQ などの構造化データを導入しているか - 内部リンクが適切に設計されているか
└ 関連事例やサービス紹介ページへ自然にリンクできているか - メタ情報が最適化されているか
└ タイトルやディスクリプションに事例名・成果を含め、検索結果でクリック率を高められているか - コンバージョン計測が行われているか
└ GA4などで導入事例ページ経由の問い合わせ率をトラッキングしているか
まとめ
導入事例ページは「ただ掲載する」のではなく、デザインやUI/UX、検索性を最適化することでリード獲得に直結する強力な資産となります。紹介した事例デザインや改善のコツを活かし自社サイトの成果向上につなげ、さらに効率的に構築したい場合はAIを用いたワイヤー設計や検索機能の最適化も有効です。
「自社に最適な導入事例ページを相談したい」という方は、お気軽にお問い合わせください。