相談者 Aさん
クリニック開業につき、新規でホームページの作成を検討しております。
業者を探す前の段階として、情報収集を行っているのですが、クリニックのホームページ作成についてアドバイスいただけると幸いです。
この記事を書く人と信憑性
浅賀理生
2008年、株式会社インスパイアデザイン創業よりWeb制作のサービスを提供しております。
元々はWebデザイナーであったため、Webデザインの観点からのアドバイス
そして、自社においても月に50件ほどの問い合わせをホームページより獲得しているというWebマーケティングの観点より
トータルでアドバイスさせていただきます!
それでは解説していきます。
クリニックを探す患者さんの行動
まずは私が患者さんだったら?
という目線で、どのようにしてクリニックを探すか?の客観的行動を細かく見ていきます。
①家族や知人に聞く
新たにクリニックを探す際、間違いなく家族や知人に聞くことから始まります。
「あそこのクリニックは、すごく親切だよ」
「あそこのクリニックは、すごく良い先生だよ」
「他で診察してもらった時はイマイチだったけど、そのクリニックに行ったらすごく良くなったよ」
など、信頼できる人からの紹介やクチコミを聞くという行動を取ります。
②家の近所のクリニックについて調べる
次はシンプルに家から近いからという理由の人も多いはずです。
実際に私もできることなら家から近くて、良いクリニックというのが理想ですので、これは皆さん同じように思っていることだと思います。
その際に、どのような行動を取るかというと、私の場合、クリニック名+地名で検索し、そのクリニックのホームページをチェックします。
クリニック名がわからない場合、例えば歯医者を探しているのであれば、地域名+歯医者で検索し、Google Mapsに表示されるクリニックのピンをクリックし、家からどれくらいの距離なのかを確認した上で、そのクリニックのホームページをそれぞれチェックしていきます。
③検索エンジンで検索する
家の近くで良さそうなクリニックが見つからなかった場合、エリアを少し広げ、地域名+歯医者などで検索し、表示されたクリニックのサイトをそれぞれチェックしていきます。
その際のチェックポイントとしては、まずホームページがキレイであること、次に建物の外観や内装を見て、清潔感があるかをチェックします。
院長やスタッフの写真が掲載されている場合、必ず見ますし、人となりが分かるような要素があれば、そいうったものも目を通します。
ちなみに私の知人などは、クリニックのクチコミなどもチェックするようです。(私はあまり気にしない派で、どちらかというとホームページを見て雰囲気を掴むタイプです。)
以上3つが私が新たにクリニックを探すときの行動リストとなります。
次の章では、こういった患者さん目線で、どのようなホームページを作成していくのが良いのかを解説していきます。
ホームページのデザイン(Webデザイン)
当たり前ですが、まず重要となるのが、ホームページのデザイン(Webデザイン)です。
これは他の業種では、さほど重要視しないこともありますが、クリニックに関しては、アクセスした瞬間のデザイン(清潔感や信頼、雰囲気)はめちゃくちゃ重要です。
そしてデザインと共に重要な要素がファーストビューです。
ファーストビューは、クリニックのアピールポイントやキャッチコピーで構成し、デザインしていきます。
このファーストビューでは、新規の患者さんにとって安心材料になるよう、院長やスタッフなどの写真を掲載し、人の気配を出すと良いでしょう。
ファーストビューとは
ホームページの訪問者が、まずはじめに目にする箇所で、そのホームページの印象を一瞬で判断するといった、非常に重要な役割を持つものです。
全体のデザイン
全体のデザインを考える際に、院長の好みだけでデザインを決めることだけは絶対に避けてください。
なぜならホームページは患者さんが訪問し、情報を見たり、使ったりするものですので、主観ではなく、患者さん目線のデザインにするべきです。
クリニックのコンセプトやイメージを合わせつつ、デザインのテイストを決めていきます。
言うまでもありませんが、堅実や信頼といったキーワードは必須です。
ホームページの構成とコンテンツについて
ホームページに掲載する内容については、患者さんの立場でクリニックを探す際の行動を元に解説していきます。
また、既存の患者さんにとっても必要な情報や有益な情報を掲載するようにします。
患者さんが知りたいこと
- 電話番号は?
- どこにあるの?(住所、アクセスマップ)
- 休みは何曜日?
- 診療時間は何時から何時まで?
- どんな外観?
- どんな内装?
- 規模はどれくらい?
- どんな先生?安心できそう?
- どんなスタッフ?優しそう?
- どんな医療器具を使っている?
- 小さな子どもを見ててくれる?
参考サイトマップ
患者さんの立場から逆算して、最低限ホームページに必要なページの設計図(サイトマップといいます)を考えてみると下記のような感じになります。
トップページ
医院案内
診療案内
はじめて受診される方へ
院長メッセージ
医師紹介(スタッフ紹介)
施設のご紹介
アクセス
お問い合わせ
プライバシーポリシー
お知らせ
ブログ
上記のサイトマップを参考に、小さなクリニックの場合であれば、
10ページ + お知らせ + ブログ(余裕があれば)
こんな感じになります。
CMS(ホームページを自分で更新できるシステム)は導入したほうがいい?
結論から言うと導入したほうが良いです。
しかし医院の運用体制が整っているか否か(主にリテラシーの問題やリソースの問題)で変わってくる部分ですので、細かく分解して解説していきます。
CMSとは
「Contents Management System:コンテンツ・マネジメント・システム」の略で英語表記の頭文字を取って、CMSと呼びます。
日本語にすると、「コンテンツを管理するシステム」です。
どこまで自分たちで更新を行うか?
CMSの導入に関して、どこまで自分たちで更新できるようにするのか?を検討または、制作会社と相談するべきです。
なぜならかゆいところに手が届くほどに、CMSを作り込んでしまうと、逆に更新に手間がかかってしまう可能性があるからです。
また、デザイナーではない、クリニックの担当者が更新することで、クリニックのイメージが損なってしまう可能性も同時にあります。
ですので、比較的更新頻度の高い「お知らせ」や「診療日カレンダー」などを部分的に更新できるようにし、その他の情報については、都度、制作会社に依頼するほうが、初期費用を抑えられ、更新にかかる時間も短縮、レイアウト崩れやデザイン崩れなども防げるでしょう。
CMSの構築にはWordPressをおすすめします
このCMSの構築方法については、いくつかの方法があります。(オープンソースで構築する、会社独自のCMSを使うなど)
いくつか方法はあるのですが、その中でもおすすめなのが、WordPress(ワードプレス)と呼ばれるオープンソースを用いて、CMSを構築する方法です。
なぜWordPressが良いかについてなのですが、まずWordPressは世界シェアNo1.のプラットフォームだということ。
そのため他のオープンソースなどに比べ、日々のアップデートのスピードも質も格段に違い、使い勝手やカスタマイズ性など、他とは比べ物にならないほど優秀です。
また、多くの方がWordPressを知っており、管理画面に触れていますので、例えば複数の管理者がいる場合でも使いやすいUIにより、スムーズにホームページの運用が進むでしょう。
ホームページの運用には医院のリソースが取られてしまうことが多いですが、WordPressのような使いやすいシステムを使うことで、管理コスト削減にもつながります。
独自のCMSを持つ会社さんもありますが、結論、おすすめしません。
その理由は、まずWordPressに比べ、利用者数が比べ物にならないほど少ないことから、
- 割高
- 使い勝手がイマイチ
- 柔軟なカスタマイズに対応できない
など、WordPressと比べると、全ての面で劣ってしまうからです。
仕事柄、色々なCMSに触れる機会がありますが、やはりWordPressはダントツに使いやすいです。
ホームページ作成にかかる費用
費用については、10ページのホームページを例に挙げた場合でも、10万円以下〜300万円程度までと、かなりの幅があります。
その理由を解説していきますね。
オーダーメイド、セミオーダーメイド(テンプレート)による費用の違い
まず費用についてベースとなるのが、
- オーダーメイド
- セミオーダーメイド(テンプレート)
という考え方です。
これは、クオリティと作成にかかる工数に関わるもので、オーダーメイドで作成する場合が一番コストがかかり、セミオーダーメイド(テンプレート)で作成する場合が一番コストがかかりません。
どうしても費用を抑えたい方は、セミオーダーメイド(テンプレート)でホームページを作成すると良いでしょう。
オーダーメイド=注文住宅
という例えだと分かりやすかもしれません。
注文住宅でも、大手ハウスメーカーから中堅ハウスメーカーまでありますが、ホームページの作成においても同じようなことが言えます。
とはいえ、ホームページの場合、大手に頼んだからと言って、すごく効果が上がるわけではありませんので、品質の良いホームページを作成してくれる会社さんなら中堅、もしくは小さくても問題ありません。
私的な意見になってしまいますが、フリーランスに依頼するのはあまりおすすめしません。
昨今、Web制作に携わるフリーランスが増えてきましたが、トラブルも多く、仕事を途中で放棄してしまうような無責任なフリーランスも多いのが現状です。
やはり小さくても会社にしている方はそれなりの覚悟と責任感を持って仕事に取り組んでいると思います。
スマホ対応について
オーダーメイドとセミオーダーメイド(テンプレート)を比較したときに、大きく費用が変わるポイントとしてスマホ対応が挙げられます。
オーダーメイドでデザインを起こす場合、10ページのホームページであれば、PCサイトの10ページとスマホサイトの10ページと合計20ページをデザインしなければいけません。
更に静止画でデザインしたものをHTMLにする作業(コーディング)が必要になるため、20ページ分のコーディング費用もかかってきます。
オーダーメイドと比較してセミオーダーメイド(テンプレート)の場合、スマホ対応になっているテンプレートを使用するため、まず20ページ分のコーディング作業が必要ありません。(デザインを調整するため完全にゼロではない)
スマホのデザインに関しても一部を最適化させれば良い状態といえますので、オーダーメイドで作成する場合と比較し、工数は下がります。
CMS導入による費用の違い
さきほどもお話しましたが、更新システムをどのようなかたちで構築していくか?独自のブログを追加で構築するのか?一部をブログのように表示させるのか?
などでも費用が大きく変わってきます。
また、このCMSの部分で気をつけなければならないのが、ホームページの作成を依頼する制作会社の技術力(スキル)です。
例えばデザインやブランディングを売りにしている会社では、CMSの構築はほぼ外注となるため、その外注費や外注先のスキルにもより費用が異なってきます。
また、技術力がないにも関わらず、お客様ニーズに答えるために、無理やり受注し、無理やりWordPressでCMSを構築してしまうケースなども少なくありません、そういった場合、後々、不具合が起こるケースがあるため注意が必要です。
CMS導入費の相場
20万円〜
ちなみに私たちではWordPressの構築を得意としており、他の会社様と比較しても、質の高いCMSを費用を抑えて構築させることが可能ですので、お気軽にご相談ください。
制作会社の規模感による費用の違い
費用の違いは、制作会社の規模感にもより異なります。
比較的規模の大きな会社の場合、広告宣伝費、人件費、賃料など諸々の固定費がかかるため、その分が制作費に上乗せされます。
ホームページ制作費の相場をリサーチしていて、「さすがに高すぎるだろう・・」と思う会社も正直ありますが・・
集客支援サービスの有無による費用の違い
ホームページの作成に集客支援の費用が含まれるかは微妙なところですが、ホームページ新規作成時、もしくはリニューアル時にSEO対策やMEO対策等の集客支援サービスを行っているか否かにより費用に違いが出てきます。
SEO対策とは検索エンジンに最適化させる対策(上位を狙う対策)のことで、MEO対策とはGoogle Mapなどの地図エンジンに最適化させる対策のことを指します。
MEO対策については、別の記事で詳しく解説しており、自分で対策する方法にも触れてしますので、そちらを参考にしてください。
ホームページの運用について
ホームページの運用については、
- 新規の患者さん
- 既存の患者さん
に向け、情報を更新したり、情報を発信すると良いでしょう。
特に、お知らせや休診日などは比較的、頻繁に更新する部分かと思います。
Googleアナリティクス(アクセス解析)
Googleアナリティクス(アクセス解析)で分析を行えば、経営に関わる要素を見つけることもできます。
例えば、◯◯エリアからの訪問が多いと気づく→その地域に広告を出す
などです。
Googleサーチコンソール
Googleサーチコンソールはどのようなキーワードでホームページに流入があったのかが分かるGoogleが提供する無料のツールです。
SEO対策を行っているのであれば必須ですし、オウンドメディア(ブログのようなもの)を運営しているのであれば、流入キーワードは必ずチェックし、新規記事作成や記事のリライトに役立たせます。
情報発信する
クリニックの先生であれば、ブログ(オウンドメディア)で情報発信することを強くおすすめします。
その理由は、クリニックの先生が出している情報には信憑性があり権威性も生まれるからです。
2017年12月、信頼性・安全性に欠ける医療系サイト(主にアフィリエイトサイト)を排除するために、Googleがアップデートを行いました。
その結果、収益目的の医療系サイトは全て検索結果から除外され、クリニックの先生などによる信頼性の高い記事だけが残るようになったのです。
クリニックの先生は忙しいとは思いますが、他のクリニックが情報発信していなければ、Web上での差別化要素になりますし、なんらからの病的な症状で悩んでいる方の役に立てるコンテンツを作ることは、その人を救うことでもあるでしょう。