WordPress オウンドメディア構築事例|メリットや機能・用途も解説

はじめに

オウンドメディアは、企業が自社の情報発信を行い、ブランド価値を高めるための重要なマーケティング施策のひとつです。SNSや広告に比べて長期的な集客が可能であり、見込み顧客との信頼関係を築く上で欠かせない存在となっています。

その中でも、WordPressはオウンドメディア構築において高い柔軟性と拡張性を持つCMSとして多くの企業に採用されています。
本記事では、WordPressでオウンドメディアを構築するメリットや、主な機能・用途、そして実際の構築事例をご紹介します。

WordPressでオウンドメディアを構築するメリット

柔軟なカスタマイズ性

WordPressはオープンソースのCMSであり、デザインや構成を自由にカスタマイズできます。企業ごとのブランディングやマーケティング戦略に合わせた独自の設計が可能です。

豊富な機能拡張

SEO対策、SNS連携、問い合わせフォーム、分析ツールなど、多種多様なプラグインで機能を拡張できます。
オウンドメディアの運用に必要な要素を、開発コストを抑えつつ柔軟に追加できる点が大きな強みです。

コスト効率の高さ

WordPressはオープンソースのため、ライセンス費用が不要です。自社での運用・更新も容易で、他のCMSやSaaS型ツールに比べて長期的な運用コストを抑えることができます。

SEOに強い構造

WordPressはSEOに強いサイト構造を持ち、Googleの検索エンジンに最適化しやすい設計です。メタ情報の管理、URL設計、構造化データなども柔軟に設定でき、検索流入を狙いやすくなります。

セキュリティ・運用面の安心感

セキュリティプラグインやSSL対応、定期バックアップなどの機能により、安全な運用環境を整えることが可能です。運用チームが少ない企業でも安心して継続的に管理できます。

オウンドメディアの主な機能と用途

主な機能

  • 記事投稿・管理機能
    • カテゴリ・タグによる整理、執筆者管理、公開予約など、日々の情報発信を効率化。
  • SEO最適化機能
    • タイトル・メタディスクリプションの設定や、構造化マークアップの追加が容易。
  • 画像・動画管理
    • メディアライブラリ機能で、ビジュアルコンテンツを簡単にアップロード・管理。
  • 問い合わせ・資料請求フォーム
    • リード獲得を目的としたフォームを簡単に設置可能。
  • アクセス解析連携
    • Google AnalyticsやSearch Consoleとの連携で、流入経路やCVRを可視化。

主な用途

  • リード獲得・顧客育成
    • 検索経由で訪れた見込み客に価値ある情報を提供し、問い合わせ・資料請求へ導く。
  • ブランド発信・企業認知の向上
    • 自社のビジョン・強み・事例を継続的に発信し、信頼性を高める。
  • 採用・人材ブランディング
    • 社員インタビューや企業文化を紹介し、採用サイトとしての機能も兼ねる。
  • SEO資産化
    • 継続的にコンテンツを蓄積することで、広告費に頼らず安定的なアクセスを獲得。

WordPressによるオウンドメディア構築事例

WordPress オウンドメディア構築事例①

業種   : IT
従業員数 : 1000人以上
実施期間 : 3ヶ月(開発のみ)

背景・課題

  • 電子契約書サービスの認知向上とマーケティング強化のため、専門メディアとしてのブログ運用が求められていたが、既存ブログではデザインの制約が大きく、ブランドイメージに沿った表現が難しかった
  • 記事内に多様なレイアウトやデザインパーツを挿入することができず、読みやすさや情報の整理性に課題があった
  • 自社サイト・グループサイト内からブログ更新情報のみを引用・二次利用する仕組みがなく、情報発信の“横展開”や“再活用”ができていない状態
  • マーケティング部門・広報部門・開発部門間の連携が分断され、記事更新のスピード・情報共有の効率にボトルネックが生じていた
  • 将来的なコンテンツ拡大を見据えた運用基盤の整備が必須だったが、CMS周りの技術負債も大きく、更新の属人化・運用コスト増大が懸念されていた

施策

  • WordPress を用いて専用ブログメディアをフルスクラッチで構築し、最新エディタ(Gutenberg)を大幅にカスタマイズ。
  • デザインパーツを記事内へドラッグ&ドロップで挿入できる仕組みを実装し、誰でも高品質な記事を作れる環境を整備
  • オリジナルの ブロックパーツ(見出し、図版、囲み枠、FAQ、注意書きボックスなど) を多数開発し、ブランドイメージに合わせた表現を再現
  • API連携機能を開発し、WordPress 外のコーポレートサイト・グループサイトへ記事更新情報だけを自動反映できる仕組みを構築。
  • これにより、複数サイト間で情報を集約・共有するハブとしてブログメディアを活用可能に
  • 運用担当者が迷わないよう、記事作成フローのガイドや編集時の入力チェック機能を整備
  • 構造化データや表示速度最適化、内部 SEO 設計など、ブログメディアとしての検索最適化の基盤も実施
  • 将来的なグロース(大量記事投稿・拡張機能追加)も見越して、保守性・拡張性を意識したテーマ構造を設計

成果

  • エディタのカスタムにより、非デザイナーでもブランド統一された高品質な記事が作成可能になり、制作スピードが約2〜3倍向上
  • デザインの自由度が大幅に向上し、図版・注釈・解説ボックス・リンク誘導などを柔軟に組み込めるようになったことで、記事の読みやすさ・説得力が大きく向上
  • 開発した APIにより、トップページやグループ企業サイトへ最新記事の更新情報を自動展開でき、情報発信のスピードと幅が劇的に向上
  • コンテンツ運用基盤が整理され、マーケティング・広報・開発部門間の連携が円滑化
  • 実質的に「自社のナレッジハブ」として活用できるメディアとなり、記事を中心としたマーケティング活動の生産性が向上
  • 今後のサービス拡大にあわせて新カテゴリや新パーツの追加も容易となり、長期的に運用できる拡張性の高いメディア基盤を獲得

WordPress オウンドメディア②

業種   : IT
従業員数 : 500人〜1000人
実施期間 : 3ヶ月(開発のみ)

課題・要望

  • 大手教育メディアでは、無料コラム中心の運用によって読者基盤は拡大していたものの、収益化モデルが限定的で、LTV向上に課題があった
  • サイト内での読者参加型コンテンツが少なく、読者エンゲージメントを高める仕組みが不足
  • 有料会員制度導入を検討していたが、会員管理/決済/継続課金がバラバラに存在しており、Web上で一気通貫の運用ができない状態
  • プレゼント企画や有料会員限定のコンテンツ企画を行いたくても、CMS側の機能が不足し、運営側・編集側に大きな負担が生じていた
  • 長期的にコンテンツを増やす前提で、拡張性の高いプラットフォームへの刷新が急務だった

施策

  • WordPress で会員制コラムサイトをフル構築し、無料/有料会員の2階層モデルに再設計
  • 有料会員のみ閲覧できる記事、有料会員限定の掲示板、参加型コミュニティ機能を新規開発し、サイトの価値向上を実現
  • 読者のロイヤルティを高めるため、プレゼント応募機能、会員限定企画への参加導線を整備
  • ソフトバンクペイメントと連携し、Web上での会員登録 → 決済 → 毎月自動課金までを完全自動化
  • すべての決済ログをWordPress側で一元管理し、マーケティング活用しやすいデータ基盤を構築
  • 拡張に強いテーマ設計により、今後の企画・機能追加にも柔軟に対応できる運用基盤を確立

成果

  • 有料会員の自動継続処理を完全自動化し、運用側の手作業を自動化→ 編集部・事務局の負担が大幅に解消され、リソースを企画立案に集中できるように
  • 会員向け限定コンテンツの強化により、読者エンゲージメントが 約40%向上→ PV・回遊率・滞在時間が安定的に改善
  • 有料会員限定記事・限定企画により、無料会員から有料会員への移行率が向上
  • プレゼント応募機能の導入により、読者参加型の施策が実施しやすい運営フローを確立
  • 会員データと閲覧データを統合したことで、マーケティング施策の検証が容易に
  • 継続課金モデルの実装により、メディア事業としての収益の安定化・予測が容易に
  • サイトのUX改善により、読者満足度が向上し、長期的な読者の定着を実現

WordPress オウンドメディア構築事例③

業種   : IT
従業員数 : 50人以下
実施期間 : 4ヶ月

課題・要望

  • 自社が提供するマーケティングツールは多機能で高度な仕組みを持っているものの、どのようなUI/UXが最適なのか社内で判断が難しく、オウンドメディア全体の方向性が定まっていなかった
  • 特に、機能数の多いツールを扱う企業として、どのようなトップページ構成が最適なのか、多様な読者(マーケ担当者/運用者/意思決定層など)が“迷わず”必要な情報へ辿り着ける設計とは何かといった再設計が必要であり、社内だけでは結論が出せない状況だった
  • トップページだけでなく、検索機能・カテゴリ整理・下層ページのUI/UXも統一されておらず、情報探索性が低いという課題があった
  • また、プロダクト導入の意思決定に直結しやすい「導入事例」のページも、情報が整理されておらず、業種・規模・目的別に絞り込めるフィルタリング機能を備えた導入事例ページを作り、リード獲得につなげたいという要望があった
  • 記事数が増える中で、ユーザーごとに最適なコンテンツを表示できるパーソナライズ施策の必要性も高まっていたが、実装までに至っていなかった

施策

  • 同業種(マーケティングツール・CRM・コミュニケーションプラットフォーム企業)のオウンドメディアを徹底リサーチ→ 業界トレンド・構成・導線・UIパターンを洗い出し、最適解を抽出
  • メディア全体を再構築し、トップページ・下層ページ・検索機能を含むUI/UXを全面改善
    • 目的別・属性別に必要なコンテンツへたどり着く導線を再設計
    • コンテンツとプロダクト紹介を自然に接続する構造へ改善
  • フィルタリング機能を備えた導入事例ページを構築
    • 業種、導入目的、利用機能など複数軸で絞り込み可能
    • 導入を検討する企業が“自社と近いケース”を探しやすいUIを実現
  • リード獲得導線を最適化
    • CTA位置の改善
    • 資料請求・無料トライアル・問い合わせ導線を強化
    • 導入事例と機能紹介を自然に結びつけ、CV導線を増設
  • AIを活用したパーソナライズ機能を実装
    • 閲覧履歴や興味関心に応じて「あなたにおすすめの記事・機能」を自動表示
    • メディア回遊の活性化とプロダクト理解促進を両立

成果

  • 導線改善とUX再設計により、トップページから主要ページへの回遊率が大幅に向上
  • 導入事例ページのフィルタリング導入により、リード獲得率および資料請求率が改善
  • AIによるパーソナライズによって、ユーザーの閲覧傾向に合わせたコンテンツが提示され、滞在時間・記事閲覧数が増加
  • メディアの構造が整理され、社内のコンテンツ制作・更新作業の効率が向上
  • 機能紹介と事例紹介が体系化され、プロダクト理解が深まり、導入検討フェーズへの移行率が向上

まとめ

WordPressを活用したオウンドメディアは、情報発信・SEO・リード獲得・ブランド向上といった複数の目的を同時に達成できる強力な仕組みです。
社内で運用しやすく、拡張性にも優れているため、中長期的なデジタルマーケティングの基盤として最適です。法を見つける一助になれば幸いです。

オウンドメディア構築を検討中の方へ

私たち インスパイアデザイン では、WordPressを活用したオウンドメディアの戦略設計・デザイン・開発・運用支援までを一貫して提供しています。
「情報発信を始めたいが、どこから手をつけていいかわからない」「成果につながるメディア運用をしたい」という企業様は、ぜひ一度ご相談ください。

この記事を書いた人

インスパイアデザイン編集部