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WordPressで構築されたクライアントサイトの保守業務を請け負うとき、「サーバー環境の違いによる不具合」や「検証環境からの書き戻しによるデータ損失」といったトラブルを未然に防ぐための知識が不可欠です。
この記事では、実際のWeb制作現場での会話をもとに、WordPress保守を外注・受託する際に気をつけたいポイントをわかりやすく解説します。
サーバー環境は誰が用意する?自社サーバーで検証しても大丈夫?

保守をする時に、クライアントのサーバーじゃなくて、うちのサーバーにサイトのコピーを置いて作業してもいいのかな?

基本的には、それは避けたほうがいいですね。
というのも、自社サーバーとクライアントサーバーでは環境が異なるので、検証の意味がなくなることがあります。例えば、PHPのバージョンが違ったり、データベースやWebサーバーの設定の違いで、こちらで正常に動作したのに、本番環境で不具合が出たというケースも実際にあります。

やっぱりPHPのバージョン差とかが影響するんだね。こっちでは動いたのに、本番では動かない、っていうのは避けたいもんなあ。

そうです。本番とまったく同じ環境じゃない限り、保守作業の検証はあまり意味がないんですよ。理想は、クライアント側に本番と同じ構成の検証用サーバーを用意してもらうことですね。そうすれば、検証で問題なければそのまま本番に同じ手順を適用できます。

なるほど。じゃあ、制作の段階で一時的に自社サーバーを使うのはいいけど、保守まで請け負うとなったら、クライアントのサーバーを使ってくれって話になるわけだね。

そういうことです。
サーバー環境は誰が用意する?自社サーバーで検証しても大丈夫?

じゃあ、今回の保守案件の担当になる峯岸くん、何か気になることある?

はい、ありがとうございます。今回、WordPressの定期的なバージョンアップ作業があると思うんですが、その際って、まず本番環境のデータを検証環境にコピーして、そこでアップデート作業を行って、不具合がなければその結果を本番に反映するという流れだと思っています。
で、その際に使う移行プラグインとして、All-in-One WP Migrationがあると思うんですけど、それを使っても大丈夫でしょうか?

はい。
うん、検証環境を作るときに本番のデータをコピーするのは問題ないです。All-in-One WP Migrationは使いやすいですし、そういう用途では便利です。
でもね、検証環境で作業が終わった後に、それをそのまま本番に書き戻すのは絶対にNGです。

えっ、それはなぜですか?

理由は簡単で、All-in-One WP Migrationはデータを丸ごと上書きする仕組みだからです。検証環境で作業している間にも、本番環境ではお知らせやブログ記事、会員情報などが更新されている可能性がありますよね?
それを気づかずに書き戻してしまうと、最新の運用データが消えてしまう危険性があるんです。

ああ、なるほど…。テスト中に発生した本番の更新が消えるってことですね。

その通りです。だから検証環境はあくまでテスト用として運用を分けて、問題なければ、検証と同じ手順を本番でも手動で行うようにしましょう。

ということは、WordPressの保守を請け負う際の基本的な考え方としては…
- 本番サーバーと同一の検証環境を用意してもらうのが理想
- 検証環境で動作確認ができたら、本番では同じ手順を再現する
- 検証環境→本番環境に丸ごと書き戻すようなプラグイン運用は避ける
ってことだよね?

まさにその通りです。特にデータ上書きのリスクは多くの現場で見落とされがちなので、しっかり説明してクライアントと共有しておくことも重要です。

すごく勉強になりました。これで安心して作業に入れそうです!
まとめ
WordPressの保守業務は、単なる更新作業ではありません。
どの環境で、どのように作業するか。どうやって検証と本番を切り分けるか。
この運用設計次第で、クライアントとの信頼関係やトラブル発生率が大きく変わります。
チェックリスト:
- クライアントサーバーと同一条件の検証環境を用意してもらう
- All-in-One WP Migrationは検証環境の構築だけに使用
- 本番環境への反映は、検証で得られた手順を再現して行う
- データ上書きリスクについて事前に説明・同意を得る
技術力だけでなく、運用設計やクライアントへの説明力も求められるのが保守業務です。
安心・安全な対応で、継続的な信頼と収益につながる保守サービスを目指しましょう。