WordPressのGPLライセンス徹底解説|知っておくべき3つの重要ポイント

この記事を書く人と信憑性

家富正幸(いえとみまさゆき)

現役のWordPressエンジニア(エンジニア歴16年)
大規模から小規模までのWordPressテーマ開発実績数は800件以上

はじめに

WordPressを利用するにあたりライセンスについて気にしたことはないですか?調べてみるとGPLライセンスという言葉が出てくるが、よく分からない・・

本記事では、WordPress本体に関するライセンスだけでなく、無料のもの、また有料で販売されているテーマやプラグインのライセンスなどについて理解できる内容となっています。

WordPressのライセンスについて

WordPress公式サイトでは、下記のように書かれています。

今日、WordPress は PHP と MySQL で構築され、GPLv2 でライセンスされています。

https://ja.wordpress.org/about/

いきなり難しそうな横文字が・・この時点でサッパリなんですが・・

いえとみ

上記の引用文の中で、GPLv2という言葉に注目してみよう

GPLv2とは

  • GNU General Public License Version 2の略称
  • 1989年に発表された初代GPLの改訂版であり、1991年にリリース
  • オープンソースのソフトウェアを配布する場合のライセンスとして、広く使用されている
  • このライセンスにより、誰でも自由にソフトウェアを使用、改変、再配布することができる
  • 再配布する際には、元のソフトウェアがGPLv2であることを明示し、同梱するソースコードを公開する必要がある

オープンソースについて

要約してリスト化してみましたが、更にキーワードを抜き出して注目すべき点としては、

「オープンソース」
「誰でも自由にソフトウェアを使用、改変、再配布することができる」
「ソースコードを公開する必要がある」

が、挙げられます。

オープンソースは聞いたことがあります。

いえとみ

公式サイトでは、下記のように書かれているので引用してみます。

パブリッシングを民主化すること、そしてオープンソースに付属する自由を信じています。当プロジェクトに協力し貢献する人々の大きなコミュニティが、この考えを支援しています。 WordPress コミュニティは誰もを歓迎する包括的な集まりです。

https://ja.wordpress.org/about/
いえとみ

オープンソースというのは、誰に雇われているわけでもない開発者たちが「良いものを作るぞ!」と、WordPressの開発を行なっているんだ。

そして、僕たちは、有志で集まった開発者たちが開発してくれたWordPressを使わせていただいている。

そんなイメージです。

すばらしい思想だと思いました!

いえとみ

だよね

例えば、国産のCMSとかもあるけれど、あれって経営者が居て、従業員に給料を支払って、CMSを開発させてるよね。

言い方は悪いかもしれないけど、お金(利益)のために開発を行なっているとも言い換えることができる

「良いもの作るぞ!」と息巻いた有志たちが、楽しんで開発を行なっているのとは、全く対照的と言えるよね

GPLライセンスについて

オープンソースの概念は分かったんですが、GPLライセンスについて分かりやすく教えてもらえないでしょうか?

いえとみ

冒頭でも解説したけど、GPLライセンスには下記のような特徴があります。

「誰でも自由にソフトウェアを使用、改変、再配布することができる」

「再配布する際には、元のソフトウェアがGPLv2であることを明示し、同梱するソースコードを公開する必要がある」

誰でも自由にソフトウェアを使用、改変、再配布することができるから、僕たちは無料でWordPressを使用してサイトやブログを作って運用することができてるんですね!

また、改変というのは、いわゆる制作会社さんやエンジニアがカスタマイズするようなイメージですか?

いえとみ

そうですね。僕たちのような制作会社のエンジニアが静的ページにWordPressを組み込んで、CMS化するようなことを指します。

また、独自のテーマやプラグインの配布についても同様の捉え方になりますね。

有料で販売されているテーマやプラグインについて

いくつか疑問なんですけど、有料で販売されているテーマって、一度買えばそれ以降何度でも(何サイトでも)使用できるものと、都度お金を払ってねというものと2パターンあると思うんですが、これはどういった違いなんですか?

いえとみ

まず前者の「一度購入すれば、以降何サイトでも使える」パターンは、100%GPLと言って、WordPressのライセンス制度をしっかり守っている販売業者なんだ

対して、都度お金を払ってねという販売業者は、100GPLとは違い、スプリットライセンスといって、開発において作成したCSSやJSはうちのものだから、公開する義務はないよという主張なんだよね

PHPは公開義務があるが、CSSやJSは公開義務がない
だから、違反してないし、都度お金を払ってねという主張

そのライセンスの考え方は、有料のプラグインに関しても同様ですか?

いえとみ

そうですね

まぁ「派生物(テーマやプラグイン等)は、無料で公開してね」がGPLライセンスなので、有料というのは結構グレーゾーンなんですけどね・・

追加で質問なんですが、国産のテーマで「Snow Monkye」「SWELL」といった100%GPLライセンスと謳いながら有料なのはなぜですか?

一度購入すれば、何サイトでも利用可能とは書いてますが、そもそも有料なのが分かりません・・

いえとみ

要は、「テーマは無料だけど、サポートは有料ですよ」

ということでしょうね。

なるほど!腑に落ちました

ありがとうございました!

さいごに

個人的にオープンソースという思想はすごく共感できて好きな考え方です。WordPressを運営しているAutomattic社のやり方がうまいということもあると思いますが、給料を与えられて開発をしているエンジニアとはモチベーションも違うと思いますし、だからこそこれだけ爆発的に普及しているのだと思います。

Automattic, Inc. とは

2005年にマット・マレンウェッグ(Matt Mullenweg)によって設立され、アメリカ合衆国のカリフォルニア州サンフランシスコに本社を置く

WordPressの開発・メンテナンスや、WordPress.comなどのWordPressをベースとしたサービスの提供を行っており、JetpackやAkismetなどのWordPress向けのプラグインやサービスも提供している

この記事を書いた人

家富正幸

インスパイアデザインの取締役兼、エンジニア。WordPressのテーマ・プラグイン開発を年間100件以上、独自のフレームワークを用いて開発をしています。